ノラねこが家に入ってきたときのこと

自宅でアジの開きを焼いていたら、ノラねこが家に入ってきたことがありました。

ほどよい気候の初夏。焼き魚の煙も気になるので、玄関の扉を開けて換気をしていました。
その時に住んでいたのは木造アパートの3階で、玄関を開けるとすぐに外廊下に繋がっていました。セキュリティがばがば。

小さなちゃぶ台の前に座ってアジが焼けるのを待っていると、わたくしの横には玄関から入ってきたノラねこ。ふつうに座っている。いつの間に。警戒心とか、そういう野生の本能みたいのはないのか。
「ダメだよ〜」と言いながらノラねこを抱えて外廊下に放して部屋に戻っても、また入ってくるノラねこ。何度追い出しても、また戻ってくる。きみはシャケか。いま焼いているのはアジだし、きみはねこだよ。

やがて焼きあがったアジの開きが、小さなちゃぶ台に乗りました。
ノラねこも、ちゃぶ台に前脚をかけて身を乗り出しました。こらこら。

仕方がないので、アジを少しだけノラねこにあげました。
ノラねこは鼻水を垂らしながら喜んで食べて、それ以上はもらえないことが解ったのか、出て行きました。その後日も、ノラねこは何回か我が家を来訪しました。そのうち来なくなったな。

この出来事、さも昭和のある日のような内容ですが、2005年のことです。21世紀でもこのころはまだ、おおらかな時代だったな。

油断してたらこうなるところだった
油断してたらこうなるところだった

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