【本】#034 心理学で何がわかるか / 村上 宣寛

 心理学で何がわかるか
心理学で何がわかるか

「心理学ってどこまで有能なのかな」と常に考えているわたくしですから、この本を手に取るのは自然です。

科学としての心理学はどういうものか、そしてそこからわかることは何かを論じている本です。世間一般にはびこる「心理学」の不確実さや妥当性のなさを小気味よく批判したうえで、「心理学でここまではわかる」と科学的に論じています。

知性は遺伝する蓋然性が高く、育児放棄は必ずしも悪いものとは言えない。人々が協力するのは他者の目を意識するからであり、社会の圧力は本来備わっていない「本能」で人を殺す。アタマのよい子にしたいなら親の収入を上げる必要がある、なんて身もふたもないことも書いてありました。
大規模な実験と精緻なエビデンスに基づき語られる「心理学」は妥当かつ意外であり、そして凶暴とも言えました。それは世間一般の「心理学」とは対極にあるものだな、と思います。

いわゆる「心理テスト」で、当たっているな〜と思うその結果は、結局のところその結果をその人がどうとらえて自分にどう照合するかですので、客観性に乏しくまったく科学的とは言えない。それを「心理学」と誤解してもらっては困る、ということがよく解りました。たくさんの実験と強固なエビデンスに支えられているものだけが、「心理学」を標榜できるのです。

心理学でわかることはあくまで集団の中の傾向や蓋然性であり、そこに「個人への偏見」を期待するのであれば、「心理学はなにもわからない」と言えるかもしれません。
本書は、「科学としての心理学」を正しく理解したいかたにオススメです。

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