比喩的表現に現実が追いつく

諸事情で職場の整理をしていたところ、もう使用していないテープメディアが発掘されたという一報を受けました。

こういうやつ
こういうやつ

わたくしは初見だったのですが、これはデジタルデータストレージテープというものだそうで、職場では大量データのバックアップに使用していたようです。果たしてこれに読み書きできるハードウェアはあったのか、それはナゾです。

このテープメディアはもう使用していない(使用できない)ので廃棄するのですが、モノがモノだけに、廃棄の際にはデータが読み出しできなくなるように物理破壊を伴う必要があります。会社の先輩はこのようなテープメディアの物理破壊を過去にもやったことがあるらしく、その際の思い出を語ってくれました。

「テープ捨てるの前もやったなー、洗剤とバケツを100均で買ってきて…あれ、バケツは会社にあったかな…」

センザイ? どういうこと?
わたくしは尋ねます。

「センザイって、あのセンザイですか? マジックリンとか?」
「テープが界面活性剤を吸うと、データの読み書きができなくなるんだよ。洗剤は買ったけど、バケツは会社にあったんだっけな…」

へー! 知らなかった。

先輩は「バケツは会社にあったのかどうか」の記憶をその後もしばらくたどっていましたが、いわく、テープメディアの廃棄の際は、弊社では以下の手順を踏むそうです。

  1. バケツに水をはる
  2. 1. に洗剤を適量注ぐ
  3. 2. に廃棄対象のテープメディアを投入する
  4. 1週間漬け込む
  5. 1週間後に上記のバケツの写真を撮る
  6. 所轄の部門に5. の画像を物理破壊のエビデンスとして提出する

ウソくせ〜! とくに 4. の「1週間漬け込む」。
あとバケツの写真を撮るところも、「バケツの写真を撮っている人の姿」「撮影されたバケツと水に沈むテープメディアの構図」の、双方向的にシュールでいいですね。

過去の情報や記憶(とくにネガティブなもの)をすっかりと消し去ることを「洗い流す」なんて表現しますが、テープメディアから過去の情報を読み出せなくようにする際は、名実ともに洗い流していた、というお話。
比喩的表現に現実が後から追いついてきた、稀有な例ですね。

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