【本】#008 経済学の哲学 – 19世紀経済思想とラスキン / 伊藤 邦武

経済学の哲学 - 19世紀経済思想とラスキン
経済学の哲学 – 19世紀経済思想とラスキン
19世紀のイギリスの美術評論家ジョン・ラスキンの哲学的思想を中心に、アンビバレンツとも思える「エコノミー」と「エコロジー」の両立を説く内容でした。美術評論家がなぜ経済や環境、哲学について語っているのかは忘れてしまいました。

恥ずかしながらわたくしはラスキンを存じ上げておらず、内容についてもまぁ難しいものでした。

しかしながら、ラスキンの提唱する経済の在り方という点で見ると、現代社会にも相通ずるものがあります。すなわち、「最大多数の高潔にして幸福な人間」を希求する社会です。
「ただおカネを稼ぐためだけに、消費するためだけに人間はあるんじゃないぜ。そこには名誉と誇りもないとダメなんだぜ。仕事を通して自己実現しようぜ! あと有意義におカネは使おうぜ!」といったところでしょうか。

ラスキンは、このように高潔かつ幸福な人間というのは、よりよい環境の社会にのみ根づくとしています。きったねぇ空気と水の街では、労働者も消費者も心がすさんでしまう、そしたら労働にも消費にも誇りが持てんだろう、というところですね。公害問題が深刻化する前に、早くもラスキンは警鐘を鳴らしていたのです。
同時に、環境(動植物や自然)を保護するあまり、人間の生活のレベルを落とすのも元の木阿弥よ、とも言っています。自然は人間のためにあるのではなく、人間もまた自然のためにあるのではないのです。

「エコノミー」に傾倒しすぎても、「エコロジー」に傾倒しすぎても、どっちもダメ。それぞれをメタ的に捉える「経済学の哲学」を社会は意識し、人間はよりよく生きるためにこの哲学をもって課題を解決していくのです。
じゃあそのために具体的にはどうすればいいの、とも思うのですが、21世紀はそれに答えを出す時代なのでしょう。

「働き方改革」「ブラック企業撲滅」「プレミアムフライデー」なんて21世紀になって言われてますが、ラスキンは草葉の陰で「えっ、いまさらそんなこと言ってるの…おれっち19世紀から言ってたじゃん…」なんて愕然としているかも解りません。

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