【本】#006 名文を書かない文章講座 / 村田 喜代子

名文を書かない文章講座
名文を書かない文章講座

まずは文章を書くための心がまえとポイントを基本と実践から、つぎに読者質問への回答、そして文章トレーニングの方法、さいごにいろいろな作品を引用し解説…といった内容です。

この本を読んで、文章をどれだけ「上手に」書けたかは、自分の伝えたいことの熱量に比例するのだな、と思いました。
比喩や語彙や文法などの「上手さ」が、伝えたいことの熱量を上回ることはありません。伝えたい内容をよくわかっていて、誰にでもわかるように伝えることが文章の「上手さ」なのだな、と。

この本には「自分にしか書けないことを」「誰にでもわかるように書く」ことが名文であると書いてありました。「自分にしか書けないこと」のテーマを得るために、いわゆる“人間力”を上げるのがたいせつで、「誰にでもわかるように書く」ためにそのテーマをどう構成し推敲するか、文体はどうするか、などをていねいに解説しています。日々の生活の中の出来事を、自分のアタマの中で文章として再構成するクセをつけるのがよいようです(これはわたくしもよくやってるので、共感できました)。

作家さんの作品として、内田百閒先生の『ノラや』が紹介されていました。
わたくしはこの作品は存じ上げなかったのですが、たいせつにしていたネコがいなくなってしまった先生の、溢れんばかりの寂しさが綴られており、これを読んでいた時は電車の中だったのですが、思いがけず泣きそうになってしまいました。
ごくわずかに引用されている文章だけで、ここまで感情を揺さぶられるとは。こういう文章が書けるようになりたいものです。

わたくしは別に、作家さんになりたいワケではないのですが。

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