「任意」

「任意」という言葉がキライでした。

数学の文章問題に突然出現する「任意」という言葉。
「人物aが任意の自然数を…」みたいなことが書かれてあって、まずそもそも「任意」という言葉の意味が解らない。辞書で調べてみます。

にんい
【任意】
《名・ダナ》その人の意思に任せること。
そうするか否か、どれにするかが、勝手に選べること。
「支給以外の―による携行品」
論理・数学
《多くは「―の」の形で》 勝手に選ばせること。
「―の整数に対して」

「その人の意思に任せること」とか「勝手に選ばせること」とか言われても、人物aが何をどう思っているか解るワケがありません
「えっ、数学って心理学なの? 心を読まなきゃいけないの? わかんないことが前提なら絶対にこの問題解けなくない?」そう思っていたのです。

わたくしが思うに、この「任意」という言葉のクセの強さにやられ、「数学ワケ解らんな」と思い脱落していった者も多いのではないでしょうか。
つまり「なんでもいい」状態が「任意」だと思うのですが、「意に任す」ではなく「なんでもいい」というという意味が伝わるような熟語にして欲しかったなと思います。前述であれば「自然数(なんでもいい)があって…」と無生物主語にしてもらえば、まだ解りやすかったのかなと思います。

そんなわたくしも大人になり、「任意」という言葉が大好きになりました。
「任意」すなわち「意に任す」。つまり「当方に責任はない」。最高ですよね。

「この資料って最終成果物になりますか?」「いえ、任意です」
「この作業は必須ですかね」「いえ、任意です」
「任意とはいえこの資料はあったほうがいいですよね」「いえ、任意なのであってもなくてもどっちでもいい認識です。ただ、顧客がその資料を参照する可能性はありますので……」

どっちつかずにして当方は責任を放棄! 怒られても知ったこっちゃない! だって任意だから!
数学の教科書に大人が「任意」という言葉をいきなり持ち出した気持ちも、いまとなっては解ります。「任意」って言葉 ベンリだもの。

 

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