目黒区と足立区の、圧倒的な差分

橋の親柱などに据えつけてある「橋名板」がカッコよくて好きなので、わたくしはそれを鑑賞しに東京23区の河川をウロウロと散策することを、趣味のひとつとしています。

橋名板「目黒新橋」
橋名板「目黒新橋」

河川はおおむね街の中心からは外れているので、そのあたりを散策すると街の違った側面も垣間見れて楽しい。
河川沿いには住宅街があり公園があり学校があり事業所があり、そして生活がある。わたくしの知らない生活がそこに根づいていること、それを感じることだけで、わたくしは満たされてゆくのです。いろんな「東京」が、河川沿いには展開されている。

そんななかでも目黒川は「目黒川」で、“ジ・おしゃれ”を前面に押し出しています。

橋の下に「ボンジュール!」
橋の下に「ボンジュール!」

子どもを自転車の後ろに乗せたおかあさんは、なんと形容すべきか解りませんが、キャビンアテンダント、ないしは皇室の人がかぶっていそうなおしゃれな帽子をかぶって、目黒川沿いの高級そうなマンションから出てきました。
足立区では見たことのないおかあさん。

足立区の自転車のおかあさんが、マミーマートとかジェーソン(ディスカウントスーパー)のビニール袋をサドルにかぶせているのを毛長川沿いで見たことはありますが、「おかあさん」「自転車」「かぶる」「川沿い」という共通の要素で、目黒区と足立区にここまでの圧倒的な差分があるとは思ってもみませんでした。

ほかにも、目黒川沿いには何を売っているのか解らない小さな商店も点在していました。
しかしそのたたずまいはおしゃれで、白人のカップルやおしゃれな女子グループがその店頭を覗いていました。服飾や雑貨を、店主の厳選したラインナップで販売しているようでした。

いちおう足立区を対比させておくと、ホコリのかぶったサムシングがめちゃくちゃに積まれた「何を売っているのか解らない店」、ときどきありますよね。どこが正式な入口か不明で、入口と思しき箇所の横に、電池(アルカリじゃなくてマンガン)とかコンドームとかの自動販売機が据えつけてあるような店。店頭を覗く人、ゼロ人。
こんな店が、毛長川の近くにあったような気がします。

東京には、いろんな「東京」が展開されています。目黒川も「東京」だし、毛長川も(右岸は)「東京」。
それぞれの川沿いの住宅街には知らない人たちが生活していて、日々の事実を積み重ねていき、後悔したり希望をもったりして、未来を見据えているのでしょう。
基本的に同じで、圧倒的に違う。そのアンビバレンスが肌に感じられる、まち歩きの楽しさよ。

個人的には、目黒川沿いを歩いているとき、なんだか息苦しく感じました。

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