【橋名板】東京23区の橋を200以上渡ってみて

■ 伝われ! 「橋名板」のおもしろさ

橋についている「橋名板」が好きです。

世界のあらゆるものには名前がありますが、多くの場合、名前と実体は分離しています。
わたくしの名前は「松岡」ですが、わたくしのカラダのどこにも「松岡」とは書いておらず、わたくしのフルネームが書かれており公的な身分証である「運転免許証」の名前は、「運転免許証」です。
おおむね名前は実体と分離し、世界において「物体をなんと呼称するか」を便宜的に定義しているにすぎません。実体に名前が書かれないのがふつうなのです。

そこにあって、橋の名前を広く世界に伝える「橋名板」は、名前と実体が密着している稀有な例であるとわたくしは思うのです。
この橋は「勝鬨橋」という名前であり、「勝鬨橋」と直接的に書かれている。すごくおもしろいと思いませんか。思いませんか? 思いますよね。思うよね、そうですよね。そうそう。

そしてもう一点。名前と実体を密着させている上に、「橋名板」はその意匠がさまざまである点も面白いです。
橋の名前を世界に広く伝えるためだけであれば、視認性の高い印刷書体でそれを書けばよい。しかし実際はそうではありません。いろいろな意匠や書体で橋の名前は書かれ、視認性の高い印刷書体のほうが少数派といえそうです。

物体に商業価値をもたせる場合、例えば食品パッケージや企業ロゴなどであれば、その名前の書き方にデザインを求めることに理解ができます。消費者に手に取ってもらう、良好なイメージをもってもらう。そのためには名前の書き方に趣向を凝らす必要性がありそうです。とくに「商品」は名前と実体が密着しているので、そのデザインは重要性を帯びます。
そこにあって橋名板。橋は道の延長なので通るだけです。だいたいの人が橋の名前に意識は向かないでしょう。「おっ、こりゃいいデザインのロゴだな、いっちょ渡ってみるか」、こうはなりませんよね。
目的や意味が不明であるのに橋々(はしばし)によって意匠の異なるのが、「橋名板」のおもしろいところです。おもしろいですよね。おもしろくない? そんなことはないはず。おもしろいはず。

だからわたくしは「橋名板」が好きであり、東京23区の橋を200以上渡ってみたのです。それでもまだ当然、すべてを渡るには至っていません。

■ 「橋名板」とはなにか

「橋名板」は、橋の名称を表している板状のものです。
おおむね金属でできており、道路の入口に漢字、出口にひらがな、それぞれの記述で橋の名称を明示しています。漢字が読めないような ばかなわたくしでも安心(マジで読めない漢字の橋だと助かる)。
多くは橋の親柱に取り付けれていますが、欄干に取り付けれている場合もあります。
なお、「橋名板」とここでは呼称しておりますが、石柱に橋の名前が彫られていたりする場合もあります。

日本橋の「橋名板」(漢字)
日本橋の「橋名板」(漢字)
日本橋の「橋名板」(ひらがな)
日本橋の「橋名板」(ひらがな)

日本の道路の原点である「日本橋」の「橋名板」はこうなっています。
このように、ひらがなで書く場合に「にほんし」と濁点を外している場合があり、これは「濁りのない川でありますように(=氾濫や洪水がなく穏やかであるように)」という願いが込められているそうです。

では、東京23区の「橋名板」で、わたくしがとくに気になったものを見てみましょう。

■ 「橋名板」あれこれ

勝鬨橋 / 隅田川
勝鬨橋 / 隅田川

勝鬨橋、意外と地味
「勝鬨橋」は有名な橋だと思うのですが、「橋名板」はちんまりしていました。橋の知名度と「橋名板」のデザイン性は、必ずしも比例しないようです。

逆に、知らない橋の「橋名板」のテンションがすごいと笑ってしまいます。

新亀島橋 / 亀島川
新亀島橋 / 亀島川

おうぎ形がパカーン。「しん、かめじまばし〜」。

鎧橋 / 日本橋川
鎧橋 / 日本橋川

もはや「板」でない。

入谷大橋 / 新芝川
入谷大橋 / 新芝川

足立区の最果てなのにめっちゃ光ってる。

北糀谷橋 / 呑川
北糀谷橋 / 呑川

シースルーがあるとは予想外。

知らない橋なのに、自己主張の激しい「橋名板」たち。たくさんの橋をめぐってこういった意匠のものに出会えると、本当にうれしいし楽しいです。

また、川のある区間において、意匠を統一している場合もあります。

統一されたデザインの神田川の「橋名板」
統一されたデザインの神田川の「橋名板」
統一されたデザインの渋谷川の「橋名板」
統一されたデザインの渋谷川の「橋名板」

統率がとれていると美しくはあるのですが、わたくしとしては「いろいろな意匠に出会いたい」と思っているので、すこし期待はずれでもあります。

さらには、「橋名は解るけど、ちょっとこれはどうなんだろう…」というものもあります。

四つ木橋 / 荒川
四つ木橋 / 荒川

字、汚くない?

さくら橋 / 毛長川
さくら橋 / 毛長川

ふつう ここまでバッキバキになる?

亀屋橋 / 渋谷川
亀屋橋 / 渋谷川

とりあえずでかいテプラを貼ったのかな?

みんな違って、みんなおもしろい。感嘆とツッコミの連続が、この「橋名板」鑑賞にはあります。

名前と実体が密着しているだけでも特異であり、利用者への訴求力を持つ必要のない意匠にここまでの違いがある。そしてのその意匠の違いは、橋の知名度からは分離している。
これが「橋名板」のおもしろさなのです。いや〜おもしろいですよね。おもしろくない? そんなことはないはず。おもしろいはず。いい加減おもしろがってくれよ。

■ 「橋名板」鑑賞の苦労話

すこしだけ、「橋名板」を鑑賞する際の苦労話についても聞いていただけますでしょうか。

「橋名板」は当然、橋についています。わたくしは地図で橋の位置を確認しながらそこに向かい、「橋名板」を探します。
わたくしはクルマを運転できない(ペーパードライバー)ので、もっぱら電車とレンタサイクルと徒歩で橋をめぐります。交通至便な橋は行き尽くしてしまったので、これからの訪問が大変でもあります。

地図を見ながらせっかく橋までたどり着いたとしても。

西仲橋(架替中) / 月島川
西仲橋(架替中) / 月島川

架け替え中で「橋名板」を見られなかったり。

のちの「築地大橋」
のちの「築地大橋」

川沿いを歩いていたら「あ、このあたり新しく橋が架かるんだ、また来ないとダメじゃん…」と思ったり。

小溜井引入水門橋 / 垳川
小溜井引入水門橋 / 垳川

「これは『橋名板』とは言えないな…」と思ったり。

金杉橋 / 古川
金杉橋 / 古川

なんかすごい隠れてたり。

千住大橋 / 隅田川
千住大橋 / 隅田川

めっちゃ上の方にあったり。

?橋 / 神田川
?橋 / 神田川

「不在」になってたり。

一筋縄ではいかないのもこの「橋名板」鑑賞のおもしろさでもあるのですが、とくに最後の「不在」問題は深刻な話であり、昨今この「橋名板」は金属窃盗の標的となっているそうです。
わたくしが鑑賞できないのは、ひじょうに由々しき問題です。レンタサイクルを一生懸命に漕いで到着して、「不在」だったときのわたくしの気持ちも是非、推し測っていただきたい。ほんとにガッカリするんだ。

■ 今日も「橋名板」を探しにいく

だからわたくしは今日も、この足で「橋名板」を探しにいきます。この目で「橋名板」を鑑賞するのです。わたくしが行かなければ、だれが「橋名板」を鑑賞するのでしょうか。

23:55、あしたは8:00くらいに起きて石神井川に行こう。
23:55、あしたは8:00くらいに起きて石神井川に行こう。

あしたは休日です。天気予報も良好ですので、王子から石神井川を上流まで歩いて回ってみましょう。おやすみなさい…。



16:28て。
16:28て。

起きたら夕方。だいたいこう。

そりゃ、「橋名板」より寝るほうが好きに決まってるっしょ。なんなんだよ。遊びじゃないんだよ。

当サイトの橋名板カテゴリーでは、訪問した橋名板とその位置を、1ページ1橋で淡白に紹介しております。気が向いたタイミングで更新中。