すかいらーくという概念に畏怖する

「ない」ものが標榜されていると、ついに権威づけられ、わたくし自身は途端に興奮を感じます。

「持株会社」は最たる例で、その会社自体はとくに事業を営んでおらず、株券による子会社の支配を主たる目的としています。
「株式会社なんとかホールディングス」というのを見聞きすると、もう権威の象徴のように思い興奮します。「ない」のに株を持つことでものすごい権力を持ち支配する、興奮しますよね。興奮しない? 興奮しますよね? しないの? するでしょ

「ない」ものを標榜している企業といえば、やはり『すかいらーく』グループが筆頭にあがるでしょうか。
レストランブランドとしての「すかいらーく」は、2009年(約10年前!)に閉店し、『すかいらーく』グループから「すかいらーく」が消滅しました。「すかいらーく」は創業の地であるひばりヶ丘の「ひばり=skylark」を由来としているにも関わらず、なくなってしまったのです。
「ガストは『すかいらーく』グループである」を説明するのに、「すかいらーくとは何か、なぜすかいらーくなのか」という「ない」もの2回の論述が必要です。(正確には「すかいらーくはなぜひらがななのか」の「ない」もの3回目の論述も必要です)
いまやもうない「すかいらーく」を標榜する『すかいらーく』グループには、「ある」時代も知っているだけに、そしてあの眠そうなひばりがロードサイドに掲出されていた時代を知っているだけに、興奮を禁じえません。(ここで「なぜ眠そうなのか」の「ない」もの4回目の論述も必要になります)

このように、「ない」ものの論述は、実体が伴わないために複雑性を増します。
わたくしたちは2009年以降、「すかいらーく」という、「ない」ものを仮定する世界を生きているのです。「ない」ものを仮定することの難しさ。わたくしたちは多忙な日常でこれを忘れがちではありますが、忘れてはならない事実です。

ふと考えてみてください。
「すかいらーく」という「ない」ものの傘下には、「ガスト」や「バーミヤン」、「ジョナサン」という日々の生活でお世話になりがちな各店舗が、文字通り軒を連ねています。『概念』のもとに集う『実体』。それは哲学であり、ある意味において宗教的とも言えます。
標榜された「ない」ものとはすなわち、「神」といえるでしょう。

「すかいらーく」は権威が加速し、もはや「神」と同格になりました。
「神」という畏怖すべき存在。わたくしも興奮するはずです。

旧ロゴの印象の薄さよ
旧ロゴの印象の薄さよ

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