【本】#013 23区格差 / 池田利道

23区格差
23区格差

東京23区のことをいま以上に知りたがっているわたくしですから、手に取るのは自然です。

本書のタイトルは「23区格差」ですが、あくまで統計データに基づき各区をグループでわけたり、各区の特徴を述べたりしている内容でした。「格差」をつけて優劣を決める内容ではないです。イメージではなく統計データを並べて述べているのに、「格差」とタイトルづけしてしまうのはちょっとどうかな、と思いました。

概ねイメージ通りのデータ分布だったり、意外性のあるデータ分布だったりして、各区にある印象に根拠がないものもあるんだな、と思いました。
本書で述べられていたのは「定住志向」は必ずしも街にとって有益なものではない、ということ。旧住民が都市に定住すると新住民が入ってこなくなるため、街の新陳代謝が不活発となるとありました。高齢化は進み、都市の機能は停滞します。これはたしかにそうかもしれません。
各区にはデータで示される「個性」があり、自分にとって重視する点とその「個性」がうまく一致するのが、「価値」になるというようなことが書いてあり、わたくしもそう思います。ブランド力を重視するならば港区世田谷区に住めばよいし、とにかく安く住みたいなら足立区江戸川区に住めばよいのです。

また、いろいろなデータを表面的にとらえず、多面的にとらえることで見えてくることがあるというのも、本書であらためて気づかされました(これは23区格差とは関係なく、統計情報の扱い方の話ですが)。
とはいえ、データの組み合わせが恣意的になってしまったり、こじつけになったりすると論理の信憑性が低下するので、なかなかバランスが難しいところだな、とも思います。

東京23区のいろいろな面がデータから読み取れたので、本書で主張されている内容もさることながら、データを把握するだけでも価値があるなと思います。興味があるかたはぜひ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です